これだけ3日間も静かな屈斜路湖に出会えたのははじめてだった。

 いつもの屈斜路湖和琴に出かけ、いつものようにカヌーをする。いつものように宮崎商店のおじさんに挨拶をする。いつもの我が家の変わらないキャンプ。ただ僕はドキドキしていた。
 それは宮崎商店のおじさんからあの「野田さん」と呼ばれる人物が数日前からここら付近に滞在しているという。

一度はカヌーに犬を乗せたおじさんのラーメンのCMを見たことがあるはずだ。「あやしい探検隊」「椎名誠」そう野田知佑さんがここ数日釧路川を下っているという情報を得たのだ。
 「会えればいいな」というか「会ったらどうしよう?」という期待と不安入り交じる心境だった。

 いつものようにテントを張る。いつものようにカヌーをした。
今日はとても湖が穏やかだった。鏡のような湖。いつもは海の波のような時もあるのに、気温も高く子供達をカヌーに乗せても安心。
自分自身こんな静かな和琴でキャンプ出来ることは滅多にないのだ。

 流木を拾い焚き火をする。火を起こすのは子供達の役目。煙にまかれ咳き込みながら火吹きで炎を起こす。

 僕はビールを飲みながらピンク色に染まった夕焼けを楽しむ。相変わらず湖は静かだ。

 贅沢というのは金では買えない。カードのCMでは「プライスレス」なんてやっているがまさにその通り。贅沢とはモノの贅沢ではなく心の贅沢。僕は相変わらず貧乏だが、この景色に出会え感じられこの景色を見ながら缶ビールを飲む贅沢は何処にもないだろう。歩いてタダで温泉に入れる。

 夕食はいたってシンプルに。豚汁、ご飯。ご飯は芯が残ってしまい失敗。それでも外で食べると美味しく感じるのが不思議だ。

 こうして夜が更けテントに入る

Part 2